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   気付けば僕の隣にはいつでも君がいて、季節は穏やかに流れていく。君がくれるたくさんの優しさに僕はいつも救われているんだ。
2024.11.23 Sat
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2013.12.10 Tue
肩をぽんと叩かれて、
小さな笑顔と共に手渡されたマグカップ。
少しの甘さとミルクの落とされたコーヒーに僕はそっと目を閉じた。
きっと気付かぬうちに積もっていたらしいどうでもいいような鬱屈も、
柄にもなく陰に傾き掛けたどうしようもない感情も
すっかりバレているのだろう。
「ありがとう」
顔を上げてそう告げれば
ちょっとだけおどけたように君は笑って向かいのソファに腰を下ろし
ハードカバーを手に取った。
窓辺のラジオからはウィンターソング。
カップを傾ければ、コーヒーのぬくもりが広がっていく。
・・・やっぱり君には敵わない。
いつまで経っても大人になれない僕の、いつの間にかの堂々巡りを
君はこうしてそっと包んでくれる。
自分の中でもはっきりとは形になっていない、
口にするのもどうかと思えるような何となくの憂鬱と、
そんな訳の分からないもので気分を下向かせている自分に対するふがいなさ。
こんなことじゃいけないと溜息をつきそうな僕は、
僕自身どうしたって好きではないのに・・・。
かさり
本のページを捲る小さな音に、何となく顔を上げれば
君はすっかり物語に夢中。
読んでみたら意外に面白いのだと言っていた、最近のお気に入りは
何とか言う魔法使いの弟子の話。
君は気付いていないだろうけれど、本を読む時
君の表情はくるくる変わって忙しい。
少しだけ眉を顰めているのは、何か問題でも起こったのかな。
と思えばもう目元は緩み、白い頬が嬉しそう。
きっとすっかり物語の世界に入り込んでいるんだろう。
いつの間にか僕は自分の鬱屈も忘れ、そんな君に気を取られていて。
空になったマグカップをテーブルに戻せば
僕の動きに君の意識がちょっとだけこちらへ戻る。
小首を傾けて浮かべられた疑問符に
「なんでもないよ」
そう答えた僕は
もうすっかり明日の予定を考え始めていた。

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