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   気付けば僕の隣にはいつでも君がいて、季節は穏やかに流れていく。君がくれるたくさんの優しさに僕はいつも救われているんだ。
2024.11.23 Sat
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2013.08.18 Sun

公園近くの並木道
散歩に行こう、と
いつもの気まぐれで突然に言い出した
珍しく早起きの君に連れられて
まだ熱の籠もらない通りを歩く。
どうやら天気予報通り、本日も快晴。
濃さを増した街路樹の緑が僕たちの頭上の空を覆い隠しているけれど
きっともう少ししたら、青は力強さを増してくる頃。
「あ」
小さな声に視線を戻せば
さっきまで隣を歩いていたはずの君が
軽い足取りで僕の少し前を行く。
また、なにか気になるものを見つけたのだろう。
それはきっと
開き始めた淡い色の花だったり、
そう、例えば何処かの子供が忘れていった麦わら帽子だったり。

君と一緒に過ごすようになって
僕の世界は随分と広がったように思う。
今まで目にしていながら見てはいなかったものが
多いということに気付かされる。
街路樹の葉陰の下、君の白い半袖が眩しい。

「ねぇ」
そう君に呼びかけて、続く言葉はたち消える。
僕は何を言おうとしたのか
きっと何か特別言いたいことがあったわけでは無くて
続くはずだった言葉は、すぐに消えてしまっのだけれど。
僕の声に君が振り向いたその時に
風で梢がはらりと揺れて
ひかりが空から落ちてきた。
ちょうど君の目の前に。
少しだけ驚いた様子の君が、眩しそうに目を細めたあと
僕にふわりと、微笑んだ。

時間にしたら、ほんの僅か
いつもと変わらない君の穏やかな笑顔。
でもその瞬間、何かが僕を通り抜けて
そして改めて思ったんだ。
君が大切だと。
この微笑みを決して無くさせたりはしないと。
君が隣で笑ってくれる、そんな僕でありたいと。

「なんでもないよ」
唇の動きだけでそう告げれば
小首を傾げて訝しげな顔をする。
そんな君の向こうで
今、蝉が鳴き始めた。

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