気付けば僕の隣にはいつでも君がいて、季節は穏やかに流れていく。君がくれるたくさんの優しさに僕はいつも救われているんだ。
2014.02.26 Wed
「虹」
と携帯電話から弾む声。
待ち合わせの公園までの、駅から続く道の途中
電車に乗っていた間に降っていた雨が、タイミング良く上がったばかり。
何となく顔を上げれば通りのすぐ向こうで君が手を振る。
空に架かるらしい橋は、僕の場所からでは建物に阻まれているらしく
その欠片すら、ここからは見えなくて。
きっと急いで駆けて来たのだ
君の鼻の頭はうっすらと赤く、
子供のような可愛らしさに、つい頬が緩む。
そんな僕を見て君は
小首を傾げて少し不満げな顔をしたけれど。
知っているだろうか。
どれだけ君の存在が、僕に優しさを教えてくれているのか
どれだけ僕の世界を広げてくれているのか
きっと僕は君と出会わなければ
そんな色々を知らずに過ごしていたのだろう。
勿論人並みに暮らしてはいただろうし
普通に年も重ねていただろうけれど
本当の意味での優しさやぬくもり、この世界の美しさに
気づけなかったと思うんだ。
信号が、青に変わる。
急ぎ足で交差点を越えて君に並べば
得意そうに示された指の先の空に
色が浮かんでいて。
「虹だね」
当たり前すぎる僕の言葉に
君はそれでも嬉しそうに笑った。
七色と言われるそれの、半ばほどしか分からなかったけれど
薄ぼんやりしたその橋を
僕はなんだかすごく、キレイだと思った。
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