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   気付けば僕の隣にはいつでも君がいて、季節は穏やかに流れていく。君がくれるたくさんの優しさに僕はいつも救われているんだ。
2024.11.23 Sat
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2014.07.01 Tue
駅前の本屋で、君の好きな作家の新刊を見つけて手に取った。
君も僕も本を読むことは好きだけれど
ついこの間話した時に、
最近本屋に行っていなくてと不満そうに言っていたから、
この包みを手渡したなら、
少しだけ驚いたように目を大きくして、
それから笑顔を見せてくれるだろうか。

街はもう夏の風が通りを抜けて
君の好きな立葵の白が高く咲き始めている。
同じ速さで過ぎる時間は
あまりに普通に流れて行くから、
時折、僕はどことなく
淋しさに似たものを感じたりすることがある。
去年と同じ街に、夏の始めの白い花。
来年もまたあの花は咲くだろうけれど
それは全く同じ花ではない。
今見ている風景は
毎年変わらないようでいて、
それでも今しか見ることは出来ないものなんだ。
静かに流れる毎日を、憂うつもりもないけれど
過ぎ去って行くことに少しの不安を覚えているのかもしれない。
そんなことを感じるのは
きっと今がそれなりに充実しているから、の反作用。
らしくもない考えを払うように小さく頭を振れば
目に入る日射しが眩しい。
もう少ししたならば、アスファルトの照り返しに溜息をつくようになるのだろう。
通り沿いの店のガラスに、華やかな夜空のポスターが見える。
去年は雨で流れた花火大会を
今年は楽しむことが出来るだろうか。
少しばかり膨らませた頬で
恨めしそうに雨空を見上げた君の顔を思い出せば
つい笑顔になりそうで、僕は口元を引き締めた。

そう、当たり前のように季節は通り過ぎて行くけれど、
幾つも幾つもまた巡り来るのも事実。
流れる時間の中で、僕たちは立ち止まってはいられなくても
隣で季節を感じていくことが出来る。
春や夏や秋や冬。
似ている様で同じでは無いそれを
何度も過ごして、積み重ねて。
もしかしたら、ずっと後になってから
そんなそれぞれの季節を思い返して
楽しかったねって、笑うのかもしれない。

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2014.06.12 Thu
緑を深める街路樹と
コントラストを大きくしつつあるアスファルトに落ちる影。
待ち合わせの駅前広場に到着したのは10分前。
噴水横のベンチの傍で
僕はのんびり君を待つ。

きっとここで僕たちは、何度も出会いを繰り返してきた。
大抵は余裕を持って出てくる質の僕の方が先に着いて。
予定の時間にあと数分のところで君が笑顔を見せるんだ。
いつも僕が先に来ているのが少し気になると
君が一度、眉を曇らせたから、
待っているのも楽しいのだと言ったら
自分だけ楽しいなんてズルイと今度は頬を膨らませた。
だからその次の時は少し考えて
予定ギリギリに調整したら
先に着いていた君は、
少しだけ困った顔で、やっぱりズルイと僕に言った。
あれは何時の季節だったろう。
薄紅色の花弁の舞う頃だったか
それとも木々の色付き始めた時分だったか
或いは今と同じように緑の鮮やかな晴天の・・・
そんなことを思い巡らせているうちに、
腕時計の長針は約束の時間にあと少し。
そんな気がして顔を上げれば
ちょうど君が歩いて来るところ。
片手をあげれば視線が合って
ふわりと君が僕に笑った。
・・・
空の色が眩しい振りで、上げた手を目の高さで止め
慣れた動揺を閉じ込める。
何度も繰り返してきた場面なのに
いつでも僕は、少し慌ててしまうんだ。
ねぇ、僕は
そんな君の笑顔が
本当に、とても好きなんだ。

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2014.06.04 Wed
街はもう紫陽花の季節。
色を変えて咲き行くその花を
僕は、確かにあまり好きでは無かった。
ひといろで咲き終わらずに色を変えて咲く花は
けっして派手というわけでも無いけれど
どうにも主張が強いように感じられて。
そして恐らく、開花期が長雨の頃、というのも手伝って
この時期独特の、少しばかりの鬱陶しい気分を
花に押しつけていたのかもしれない。
でも
君はそうではないようで。

朝から降ったり止んだりの空の下、
お気に入りらしい空色の傘で歩く道の途中に
足を止めて
あのピンクが綺麗、だったり
紫が葉の色に映えて、とか
青い色も雨には似合う、なんて
僕に嬉しそうに話すから。
毎年のようにそんな笑顔に出会ううち、
知らない間にどうやら僕は
その花が好きになっていたようで。

小雨の中でしっとりと世界に色を付ける紫陽花に
君の隣での季節巡りを教えられ
馴染んだ歩調で並んで歩く。
どうしたってやっぱり僕は
晴れた日の方が好きだけれど
水をはらんだ薄霞色の空気の色に
あの花はとても良く似合うから。
君と過ごす六月に歩く、傘を差した駅までの回り道が
今、なんだかとても楽しい。

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2014.05.20 Tue
手を伸ばせばいつでも届く、
そんな距離を当たり前だと思ってしまっていた。
それほどに近くにずっといたのに
僕は大事なことを何一つ
君に伝えては来なかったんだ。

君がいなければ世界の色は褪せて
僕一人では毎日を刻み続けられはしない
君が隣にいることで
どれだけ僕が救われて来たのか
君がいる、ただそれだけで
どれほどの距離を僕が歩き続けて来られたのか
そしてなにより僕がどんなに
君を大切に想っているのかって。

こころを言葉にすることはいつだって難しくて
どうにか形作ったとしても、何かが違ってしまうようで。
それが怖くて俯いて誤魔化して。
構成しかけて立ち止まった言葉達は
いつでも音になれはしない。
そうやって僕はずっと
いつだってそこにいてくれる君に
ただ甘えてしまっていたんだね。

言葉は全てを伝えてくれはしないけれど
言葉にしなければ何も伝わることは無いんだと、
本当は知っていたのに
きっと気づかない振りをしていた。

今からでも遅くはないなら
僕は君に伝えてみよう
全部はとても伝えきれなくて、
格好良くは出来ないし
どうしたって、上手くは言えないだろうけれど。
ドアを開けたら、ほんの少しでいいから笑顔を見せて
僕はちゃんと伝えるから
君が何よりも大切なんだ、って
どんな時にも僕は君の一番近くにいたいんだ、って。
僕の言葉で伝えるから。

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2014.05.14 Wed
花を買った。
誕生日でも記念日でもないから
君はきっと首を傾げるんだろうけれど。

君は今頃何をしているだろうかなんて
何気なくふと考えることがある。
互いにもういい大人だから
出来ること、出来ないこと、それなりに分かってきていて
いつでも君の隣にいたいなんて
それは今でも思うけれど、実際そう出来ないことも知っていて。
それに、それぞれが一人で過ごす時間も
それなりに大切だし、必要なことだと思う。
でも、出来ることならば
穏やかな季節の風のように
空をゆっくりと流れる雲のように
やわらかな色の花弁のように
君の時間にそっと微笑みをのせてあげられるような
僕でありたいと思っているんだ。

ショーウィンドウの向こうの空色と黄色の花が
なんだかとっても君みたいだったんだって
・・・そんなこと言わないけれど。

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